ラプソディー イン ブルー



プレシャスを守るために、日々ネガティブと戦っているボウケンジャーたち。

しかし、表ざたにはなっていないものの、隠れたところでも、毎日戦いは続いている。

そして、隠された戦いが今日も始まろうとしていた…。





「おい、今日はオレが明石と組むんだ。お前は引っ込んでろ、銀色!」

「なんだと?明石はオレ様と組むんだ。お前こそ一人で行けばいいだろ、黒いの!!!」

「ズバーン!ズバーン!!」

「なんだよ、お前もやるってのか、金色?」



言い争っている2人と1体の中心で、明石はうんざりした顔で椅子に座り込んでいる。



「また始まったね…チーフ争奪戦…」

「……私も参加しようかしら……」

「ちょっと、さくらさん!?」



ここ数日の間ですっかり朝の恒例となってしまったミーティング後のチーフ争奪戦。

これまでは水面下で繰り広げられていたものが、ズバーンの参加で一気に表面化したのだ。



「大体、お前は明石に引っ付きすぎなんだよ、ズバーン」

「ズバズバ!!!」

「お前もだろ、黒いの」

「なにを!?」

もうかれこれ15分もこんな調子なのだ。



「そろそろ決着つけないと、ミッションに移れないよ〜」

「だったら私が……」

そう言いつつ、さくらはガチャリと銃に弾を装填した。

「だめです!さくらさん!!!」

「離して、菜月さん!!!」





パンパン!!

部屋に乾いた手をたたく音が響く。

「はい、そこまで!!!」

その場にいた人全員の目が、1人に集まった。



「「蒼太……」」



「このままじゃ、ミッションに移れないまま、日が暮れちゃいますよ。こういうことは間を取って決めましょう。
 今日は、シルバーとブラックがチーム。ズバーンは菜月ちゃんとさくらさんについていってね」



「何でオレ様がこいつと!?」

「それはこっちのセリフだ!!」

「ズンズン!!」


「はいはい。でも、『喧嘩両成敗』って言うでしょ?どっちと一緒に行っても文句がでるんだから…ね?」

爽やかに微笑む蒼太に文句を言える人は誰もいなかった。



「これでいいですよね、チーフ?」

「…あっ…あぁ…」

急に話をふられて我に返った明石に、このチャンスを逃す手はなかった。

「よし、じゃあ今のメンバーで今日のミッションスタートするぞ。アタック!!!」

チーフの言葉に従わないわけにはいかない。

しぶしぶ、メンバーはそれぞれのミッションへと向かった。





メンバーが去って、部屋には明石と蒼太だけが残った。

「朝からお疲れ様です…チーフ」

マグカップに入ったコーヒーを差し出され、明石は黙って受け取った。

砂糖とミルクが少し多め。

一口飲むと、甘さが心地よい。


「ありがとう…蒼太……」

「どういたしまして」



さっきまでの慌しさが嘘のようなのんびりとした空気だ。



「さっきは助かったよ…蒼太がいてくれて本当によかった…」

椅子に座って蒼太を見上げながら、明石はホッとした笑顔でそう言った。

その表情をみて、蒼太は少し困ったような、それでいてびっくりしたような顔をした。

「どうした、蒼太?」

「チーフ……」



すっと蒼太が明石の前に立つ。

蒼太の影が明石の顔にかかる。



「蒼太……?」



怪訝そうな顔で見つめる明石に、蒼太の顔がすっと近づく……。



蒼太の唇が明石のに重なった。

ほんの一瞬、触れるだけのキス。





「え…なっ…」

何が起こったのか、明石の頭は瞬時に理解することができない。

そんな明石を見ながら、蒼太はにっこり微笑んだ。



「明日から僕も参加します。覚悟してくださいね?」





それが蒼太の宣戦布告の合図だった……