Before? After?



朝のミーティング。

いつものように、チーフによる今日のミッションの説明が行われている。

一日の始まり、爽やかな朝。

そんな空気とまったく正反対の重苦しいオーラを全身にまとっている者が一人。



「このプレシャスはまだネガティブには発見されていない。だが、見つかるのも時間の問題だ。よって、スムーズな回収とともに、ネガティブへの警戒が要求される」

チーフの言葉に、メンバーはうなずく。

「では、配置だが、真墨と菜月は直接プレシャスの回収に向かってくれ」

「了解。いくぞ、菜月」

「うん!」

さっそく真墨と菜月は部屋を出て行く。

「さくらと蒼太はネガティブの進入を阻止するために、西エリアへ。オレは、東側を回って目的地へ向かう」

「わかりました」

「では、行きましょう」

さくらと蒼太も2人に続き、ミッションへと向かう。



「おい、明石」

痺れを切らして、映士が立ち上がった。

「映士は、万が一に備えてここに待機しててくれ」

「ちょっと待て!!!」

そういい残して部屋を出て行こうとする明石の肩をを映士は引き止めた。

「どういうつもりだ、お前…」

「何がだ?もう皆出動したんだ。オレも行かないと…」

「ふざけるな、こっち向けよ!」

映士に背を向けたままの明石を無理やり振り向かせる。

しかし、身体は向き合ったものの、明石の瞳は映士の方を向かない。

「お前…なんでオレ様をミッションからはずすんだ?」

「はずしてなんか…」

「いや、はずしてる!!!」

「……待機だって、重要なミッションだ…」

そう言う明石の目は、映士からそれたままだ。



先月、映士はネガティブとの戦いで負傷した。

かなりの重症だったものの、現在は既に完治している。

ミッションに復帰してしばらくは、明石が映士の怪我を気遣って、激しいミッションからはずしてくれていると思っていた。

しかし、既に怪我は治っている。

これ以上、現場に出られない理由は無いはずだ。

なのに、映士は怪我が治ってからもずっとミッションからはずされてばかりだ。



「どうしてだよ…あそこでヘマやって怪我なんかして、皆の足引っ張ったから…だから、オレのこともう信用できないってことか?」

自分で言ってて泣きたくなってくる。

「違う、そんなんじゃ…」

否定はするものの、明石の言葉にいつもの切れが無い。

「じゃあ、どうしてだよ…」

仲間に…それも自分が一番好きな奴に頼りにされない。

そのことが、ここ1ヶ月間、映士の心に重くのしかかっていた。


昔の映士なら、いくら周りから仲間はずれにされても平気だった。

どうせオレは半分人間じゃない…周りの奴らとは違うんだ…


しかし、一人だった映士に、明石は手を差し伸べた。

そして、映士はその手をとった。

一度手に入れたこの居心地のいい場所を失うのが怖い。



いつからオレはこんなに弱くなってしまったんだろう……


諦めと悲しみが混じった力の無い微笑が映士の顔に浮んだ。


「悪かった…」

明石の肩から映士の手が力なく落ちる。

「引き止めて悪かったな…」

「待て!」

部屋の奥へ行こうとする映士を、今度は明石が引き止める。

「映士…待ってくれ…違う、お前を頼りないなんて思ったことなんて一度も無い」

「だったらなんで…」

「怖かったんだよ…」

「えっ?」

思ってもみなかった答えに、映士は一瞬、何を明石が言っているのか分からなかった。

怖い?明石が?


そういった感情とは無縁と思えるほど、明石は勇気があり、また強かった。

そんな明石がこんなに震えてる。


「どういうことだよ…」

「先月、お前が怪我して…血だらけで倒れてるお前を見たとき…初めて思った。お前が居なくなるなるんじゃないかって…」

「あ…明石…?」

「オレは…お前を傷つけられたくないんだ…」


映士への思いとチーフとしての使命。

その二つがこの2ヶ月間、明石の中で葛藤を繰り返していた。

チーフとして、映士をミッションに参加させないわけにはいかない。

しかし、映士を危険な現場に向かわせたくない。

結果として、現在の状況になってしまったのだ。



「なんだよ…それ…オレはてっきり、お前に見限られたんじゃないかって…」

一気に力が抜けて、映士は床に座り込んでしまった。

「す…すまない…」

今更、自分が言ったことを思い返して、明石は恥ずかしくなった。

可愛い…

そんな明石を見て、映士の顔には先ほどとは全く違った微笑みが浮んでいる。

「まかせとけ、オレ様を誰だと思ってるんだ?」

「えい…じ…?」

映士はすっと立ち上がり、明石の手を取った。

「ほら、行くぜ。もうあんなヘマはしない。それに…」

「…なんだ?」

「お前を残して死ぬなんてできねぇよ。オレ様がいないって考えただけでこんなになっちまうお前をな…」

「///え、映士!?」



手をつないだまま、映士は明石を引っ張って現場へと向かう。

その明石の顔は、変身してないのに、既に真っ赤だった。






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某所で見事8000を踏んだ我が友きなこさまに捧げます。

Happy Birthdayも込めて(一緒かよっ!?)

煮るなり焼くなりお好きにどうぞ☆